「今」に感謝しよう~法学部的視点から~ | 東進ハイスクール 川口校 大学受験の予備校・塾|埼玉県

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2023年 1月 22日 「今」に感謝しよう~法学部的視点から~

皆さんこんにちは。江川です。今回のブログはフリーテーマということで、私からは「周りへの感謝」をテーマに、法学部的な視点からお話してみようと思います。

皆さんは、東進に入学した時やHRで、度々、今自分がいる環境は当たり前じゃない。常に周りへの感謝の気持ちを忘れないように、と言われてきたと思います。ですが、感謝をすることは重要だと分かっていても、イマイチしっくりきていない人もいるのではないでしょうか。僕も高校生時代はそうでした。そこで今回は、「感謝」の大切さに少しでも説得力を持たせられるように、法学部的な観点から考えてみたいと思います。

この社会における最小の単位は家族です。法律にも古くから家族に関することが定められてきました。なので今回は家族に関する法律を考察することで、今の皆さんを取り巻く環境がどれだけありがたいものなのかを考えます。

まずは、家族の一つ前の結婚についてお話ししたいと思います。現在では、日本国憲法第二十四条第一項で「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と定められ、自由に好きな人と結婚することができます。しかし、知っている人も多いと思いますが、江戸時代において、結婚は家から命令されて、家が決めた人とするのが当たり前でした。また、身分が違う者同士での結婚も禁じられていました。

 そのような状況が、1868年の大政奉還から始まる明治維新で一変します。1871年に身分解放令が発布されました。これにより、見かけ上は身分制度が撤廃されたことになります。また、同じ年に戸籍法が制定され、それまでは都道府県ごとに作成されていた戸籍を、全国で一律に作成することが定められました。これらにより、法律上は自由に結婚することが解禁されました。また、これと同時に結婚した、もしくはすでにしている夫婦を、同一の家族として戸籍上で管理する必要も生じます。

 これにより、日本の法律上に「家族」という制度が明文化されました。日本には古くから伝統的に「家」という考え方があります。家の中で父親が一番偉く、それ以外の家族を簡単に言ってしまえば支配しているような考え方です。この「家制度」も、明治維新に伴い、法律として定められました。法律では以下のように示されています。

明治民法731条では、

「戸主ノ親族ニシテ其家ニ在ル者及ヒ其配偶者ハ之ヲ家族トス」

725条では、

「左ニ掲ケタル者ハ之ヲ親族トス 一 六親等内ノ血族 二 配偶者三 三親等内ノ姻族」とし、家族の定義と範囲を定めています。

また、梅謙次郎は著書の『民法要義 巻之四』で

「家族ハ単ニ戸主ノ親族又ハ其配偶者タルヲ以テ足レリトセス必ス戸主ノ家ニ在 ルコトヲ要ス而シテ此ニ家ト云フハ有形ノ家屋ヲ謂フニ非ス法律上ノ家籍ヲ謂ヘ ルモノニシテ實際ニ於テハ同一戸籍ニ在ル者ハ即チ同一ノ家ニ在ル者ト謂テ可ナリ」

と記しています。つまり、家族というのは単に戸主の親族やその配偶者であるだけでなく、戸主の家に一緒に住んでいることを必要とすると説明しています。上のような規定は、法律上の戸主について記しているものであり、法律では戸主の権限を定義していました。戸主は明治の法律において絶大な権力を有していました。戸主は、その権限によって、家族の固有財産を除き、家の一切の財物の所有権を有していました。そして、その戸主権は、家督相続という制度によって、新たに戸主になる男性へと単独相続されるようになっていました。

つまり、明治の法律下では、戸主権により、家の物もお金もすべてが戸主の物なのですから、それ以外の家族の自由は極度に制限されていたのです。

さらに、実際の生活上は、戸主権以上に、戸主となるような父親には絶大な権力が存在していました。これが、家父長制度における夫権・父権と呼ばれるものです。父・夫という存在は事実上の生活を支配していました。一昔前の日本の家庭がそのような、父親が絶対的な強さを持っていたことは、小説やドラマ等で皆さんも知っていると思います。その制度は、明治維新以降も法律によって、厳しく規定されながら承継されていったのです。

以上からわかるように、戸主以外の家族は、法律においても、実際の生活上においても、厳しい制限を余儀なくされていたのです。このような法律下では、今の皆さんのようにのびのびと自由に勉強することができ、それを家族の方々が応援してくれるようなことがほとんどないことは、想像に難くないでしょう。

しかしこのような法律は、奇しくも日本の敗戦によっていい方向へと変わっていきます。女性の地位向上から始まり、戸主権制も解体されていきました。こうして、今の皆さんのように全員が自由にやりたいことをできるように、制度上は、変わっていきました。しかし実際の生活上はそう簡単には行きません。収入の格差や、地域の格差、現代の日本には家族以上にたくさんの問題が山積しています。そのような日本の現状の中で、決して安くない東進の学費を払ってくれる家族の方々がいる皆さんはとても恵まれているのです。

いかがでしたでしょうか。皆さんが現状に対して感謝をする必要があることに、少しは説得力を持たせられたでしょうか。少しでも納得してくれたのなら、今日おうちに帰ったら、家族に「ありがとう」と伝えてあげてください。

さて、話は変わりますが、受験生はいよいよラストスパートですね。不安も期待も入り混じる複雑な気持ちで日々を過ごしている事でしょう。ぜひ、「僕、私には全力で応援してくれる、ありがたい家族や東進のスタッフ共がいる」と感謝の気持ちをもって、本番に臨んできてください。全力で応援しています。